遺品整理士という資格の取得方法とニーズについて解説
■時代の変化やニーズを踏まえて生み出された新たなサービス
①新サービス「品整理業」の誕生
遺品整理士という資格があることを皆様はご存じでしょうか。
この資格は遺品整理士認定協会が認定している正式な資格です。
近年認定されたこの資格ですが、時代の変化やニーズによって生み出された新しいサービスな
のです。
この変化に少子高齢化が大きく関係しています。
戦前や昭和の時代は、大家族が当たり前に存在し、何世代にもわたって一緒に暮らすことや長
男が家を受け継いでいくこと、子供がたくさんいることなどが当たり前でした。
長男が遺品や財産などを受け継ぐとともに、形見分けや相続として、遺品がその他の兄弟姉妹
などにも分配されたものです。
そのため、遺品を喜んで欲しがる人や形見分けとして大切にしていくことが極普通だったので
す。
しかし、現代の生活は当時とは大きく変化しました。
ご家族やご親戚がお亡くなりになり、大量の遺品を残されている高齢者が増える一方で、少子
化や核家族化に伴い、遺品を受け継ぐ人や整理をする子どもや親族などが減っています。
大量の遺品を急きょ扱うことになり、どうしたら良いかわからず困っている方が増えました。
誰も住まなくなった実家をそのままにしてしまう空き家の放置も社会問題化しています。
さらに、現代は大量のもので溢れ、様々なものが手に入れやすくなっているため欲しいものへ
のこだわりやニーズが多様化しています。
以前は家族・親族で処理できた遺品整理も、貰い手がいなくなってしまったことにより大きな
問題となってしまいました。
このような時代の変化やニーズに合わせて新たに登場したサービスが遺品整理業なのです。
②遺品整理へのニーズの高まりと法整備の遅れ
現代は自宅も遺品も受け継ぐ人が減っています。
物があふれ、欲しいものもそれぞれこだわりや違いがある時代になり、遺品なんていらないと
いう方やすでに持っているから受け継ぐことが難しい方も増えています。
こうした時代の変化や人々の置かれている環境やライフスタイル、文化や価値観の変化などを
捉えて、新たに生み出されたサービスが遺品整理業です。
もともと遺品整理業は、銀行業・貸金業・証券業のような金融業者などと異なり、国から許可
を得ることや届け出などが必要なサービスではありませんでした。
また、携わるスタッフも医師や看護師、弁護士や税理士のように国家資格が求められるわけで
はありません。
つまり、当時は遺品整理サービスをやりたいと思った人や業者がいくらでも簡単に参入できる
状況だったのです。
その結果、たくさんのトラブルが生まれてしまいました。例えば、
- ・不用品回収の延長で、ただ遺品を回収して捨てるだけの業者
- ・形見を残すなど丁寧な仕分けをしてくれない業者
- ・適切な不用品回収を行わず、回収した遺品を不法投棄する
といったことが起こってしまいました。
料金などの法規制もないので、相場もわかりにくく、法外な料金を請求されるケースも少なく
ありません。
しかも、後から気付いて消費者センターなどに相談しても、業者と連絡が取れなくなり、被害
が補填されることもないのが現状です。
③遺品整理士認定協会による民間規制
こうした悪質な業者の増加やトラブルや被害の増加に伴い、業界の健全な運営と発展を目指し
て、有志によって設立されたのが「遺品整理士認定協会」です。
遺品整理サービスの目的や役割を定義し、適切なサービスを提供できる人材の育成を目的に遺
品整理士養成講座を運営し、認定試験を実施しています。
あくまでも民間資格であり、国家資格とは異なるため、資格をもっていないのに業務を行った
などで罰せられるといった法制度はありません。
ですが、遺品整理業者を選択する際の一つの指標にすることができます。
業者を選ぶ際に、遺品整理士の認定資格を持つスタッフがいるかどうかを、重要な判断材料に
できるからです。
また、遺品整理士認定協会は、遺品整理に関するトラブルや苦情からご遺族様を守る役割も担
っています。
遺品整理士の認定資格の有無を問わず、遺品整理業を行う業者との間で生じた不当回収や不適
切な査定、高額請求や不法投棄などの不正行為やトラブルに関する相談などを受け付けていま
す。
もし、トラブルにあった際には遺品整理士認定協会に相談すると解決につながるかもしれませ
ん。
■遺品整理士認定協会が考える遺品整理士とは
遺品整理士認定協会では、遺品整理士の存在意義を以下のように定めています。
・「イノチと向き合う」こと、「共に生きる」こと
「イノチと向き合う」とは亡くなった故人様の生きてきた軌跡やご遺志、残された遺品に込め
られた想いや思い出などに想いを馳せることです。
そして、「共に生きる」とは、ご遺族様の悲しみや辛さに寄り添い、これからの人生に向けて
前向きな気持ちが持てるように支えることを意味します。
故人様に想いを馳せて、そのお気持ちなどを尊重すること、そして、ご依頼者であるご遺族様
に寄り添うことで、そのご依頼者にとって最適な遺品整理を行うことができるわけです。
だからこそ、遺品整理士の認定資格を持つスタッフは、ご依頼者様が不要だと言うものでも、
手元に残したほうが良いとアドバイスすることもあります。
一方、未練があって手放せないものを、自分らしい今後の人生を踏み出すために手放したほう
が良いとアドバイスさせていただくこともあります。
遺品整理について専門的に学んだ知識と実際に現場に出てきた経験、そして何より、故人様や
ご遺族の立場に立って考え、想いを馳せる気持ちを持つことが、安心で信頼できる高品質なサ
ービスにつながります。
遺品整理士認定協会ホームページ(参考までにどうぞ)